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山じじい




昔、山に『山じじい』(山爺)という妖怪がいた。
特に、四国の高知県に、そういう記録がたくさん残っている。

 高知藩の山の役人として、春木次郎繁則という人が、土佐郡本川郷の山村に勤めていた。
この人が宝暦元年に書いた日記の中に、この山じじいのことが書かれている。

「山鬼という妖怪がいる。年七十ばかりの老人のようで人に似ていた。
目一つ足一つで、蓑のようなものを着ていた。
普通、本川の『山じじい』という。一説には、妖怪ではなく、けものの類であるという。

 しかし『山じじい』を見た者は、そうたくさんいるわけではない。
ある大雪の日に、村はずれの道に足跡があった。杵で押したような丸い足跡だった。
これが、山じじいの足だろうといわれた。

 また、村の老婆が、ばったり道で逢ってすれ違ったという。
びっくりしてあとを振り返ったが、もう山じじいの行方はわからなかったという。それはぴょんぴょん跳んで歩くからだろう。」

また『南路志績編稿草廿三』という書物に、

「ある人がいうには、この一眼の者、土佐山中に多い。その名を『山じじい』という。
形は人に似ていて、全身にねずみ色の短い毛があり、目ははなはだ大きく、しかも光っている。

 歯はものすごく強く、サルの頭などをまるでダイコンをかじるように食べる。
オオカミは、この山じじいをものすごく怖れた。

 猟師などは山小屋で寝るとき、山じじいに毛皮などをとられないように、家の周りに、動物の骨を置いて寝たという。」

と記されている。

 広島県辺りにも、山村では朝起きてみると、雪の上に丸い足跡が二メートルおきにあるのを、昔は見たという。ただ、姿を見た者はあまりなかったらしく、「一つ足」と呼んだ。
足跡の大きさは人間の足の四倍ぐらいあったという。

 和歌山県には、今でも熊野山中に『一本だたら』という妖怪が住んでいる。
その形を見た人はいないが、幅一尺(三〇センチ)ばかりの大きな足跡が、一足ずつ雪の上に記されているのを、今でも時々見る人があるという。

 深山で、木を切る木こりの話だが、何日歩いても、山ばかりという深山の中にときどき人の家のような妙な空き家があるという。
わたしはそれが『山じじい』の家ではないかと思う。



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2018-10-14 18:11 : 怖い話・都市伝説 : コメント : 0 :
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