幽霊の体温


大学生の頃、先生から聞いた話。

私の通っていた大学には、博物館がありました。
大学ゆかりの人物の名を冠した、結構立派な建物です。
ある夜、先生は博物館に泊まり込みで仕事をしていました
(先生はその博物館の学芸員でもあった)。

ところで、博物館のガラスケースには、防犯用のセンサーが取りつけられています。
不審者がケースに手を入れると、警報音が鳴るしくみです。

深夜、静寂を突いて“ピィィィーー…”と展示室からセンサーの音が鳴り響きました。
仕事中だった先生は、すわ、泥棒かと展示室へ駆けつけました。
お約束ながら、展示室には人の気配なし。
無人の室内に、センサーの音だけが鳴り続けていました。

おかしいなぁ、と思いながらも警報を止め、先生は仕事へ戻りました。

しかし、戻ってしばらくすると
ふたたび展示室から“ピィィィィーー…”と甲高い警報音が。
またも先生は飛んで行きましたが、やはり何の気配もなし。
壊れちゃったのかなぁ、と思いながら音を止め、戻ろうと展示室を出たところで、
駆けつけてきた警備員さんに出くわしました。

「あっ先生、今警報鳴ってませんでしたか?」
「そうなんですよ、どうもセンサーが壊れちゃったみたいで」

そんな会話をしながら一緒に廊下を歩いていたとき、
ふと、警備員さんが尋ねました。

「そういえば先生、今あの部屋では何の展示をされてるんですか?」

先生は答えました。

「ああ、『明器』の展示をやってるんですよ」

その瞬間、初めて先生は鳥肌が立ったそうです。
明器というのは、古代中国でお墓に供えられた副葬品のことをいいます。

死者に捧げられた明器、そこで反応したセンサー。
そのセンサーは、人間の体温に反応して音が鳴るものだったといいます。

最後に、先生はこう言って話を締めくくりました。

「幽霊にも、体温ってあるんですかね」

都内の某大学での話でした
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2017-06-09 12:08 : 怖い話・都市伝説 : コメント : 0 :
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